こんにちわ。かずまです。
今回は、組織心理学者のADAM GRANTさんが書かれた
『THINK AGAIN 』について
感想を書いていきたいと思います
この本は、400ページにも渡る骨太・肉厚な本ですが
内容はわかりやすく、一般読者でも読みやすく
また、活用しやすい良書でした。
本の概要 ざっくりどんな本なの?
この本の内容としては
凝り固まった価値観を疑って、自分の信念や
目標、相手の考え方に至るまで、
自分の今までのやり方を疑い、思い込みを手放し、
変化を恐れず柔軟性を持って物事に取り組む
「科学者の思考モード」を身に着けていこう!
そうすれば、人生に行き詰まった時に、
新たに考え直しやすくなる!
そのための方法を、沢山挙げてくれている本です。
再考とは?
再考するには、「科学者の思考モード」を
身につける必要があります。
では、科学者の思考モードとは何でしょうか?
一覧を見て分かる通り、
常に謙虚であり、自分の説に拘らないこと。
これが科学者の思考モードに不可欠な要素ではないかと
感じました。
ニュートラルと言い換えてもいいのかもしれません。
こんな考え方になれたならとても素晴らしいなと
感じます。
ここで一節引用します。
神経学者によると、中核的な信念を否定されると、扁桃体の防衛本能が作動する。その結果、感情的な「闘争か逃走か」反応が、冷静沈着な理性システムの防御を破って活発になり、心にパンチを食らったような不安と恐怖に駆られる。すると、武装した思考の独裁者が救助に駆けつけるのだ。その結果。信念を冒涜した者を改心させる牧師的思考や、その間違いを指摘する検察官に思考モードになるのだ
Think again
自分の価値観や信念が否定されると、
頭がカッとしたり、相手が間違っていることを責めたくなる
気持ちになりますよね。
その思考に対して、科学者の思考モードの人が
どう対処するかということに対して、
本書では有名な心理学者ダニエル・カーネマンとの
会話を通じて、語ってくれています。
あなたは、ちょっと意外な研究を読んだとき、どのように反応をするだろうか?防御的になったり、その研究の構造やデータの分析に欠陥を探したりする人もすくなくないだろう。ダニエルの反応はこの逆だった。目を輝かせ、大きな笑みさえ浮かべていた。「いやあ、すばらしいね」と彼は言った。「自分が間違っていたってきづかせてもらったよ」
自分が間違いだとわかって。心の底から嬉しく思うよ。私の間違いが、一つ減ったのだから。
自分がなにか学びを得たかどうかを知る唯一の方法は、自分の過ちを発見することだ。
とダニエル・カーネマンは言ったが、全くそのとおりだと思う。
Think againより
何かに対する考え方は暫定的にして、自説に固執せず、
自分の間違いは、学びの機会と思えるようすること。
科学者の思考モードのひとつだなと感じました。
では、どうすればそういう思考モードになれるのか?
科学者の思考モードになるためには?
それは
自分の信念を、アイデンティティから切り離すこと。
こだわりを自分の本質から分離することです。
難しい概念ですが、要するに
「安心」「余裕」「挑戦」「達成」
などの価値観を自分のアイデンティティと結びつけて、
考え方に関しては柔軟に、コロコロと
変えること。
自分の価値観と自分の考え方は別。
こうすることで、柔軟性に富んだやりかたを
することができるようになります。
気付き
ダニングークルーガー効果について
日本で運転免許を持って
普段運転している人間の70%が
「自分は人より運転がうまい」
と思っているようです。
ちょっと心配になりませんか?
ダニングクルーガー効果とは、
一言でいうと
「自信過剰なしったかぶりこそ何も知らない」
といったところでしょうか。
スキルや知識を身に着けて、
アマチュアレベルになったときこそ
自分の知識や考え方は間違いではないか?と
意識しておかないと、この自信過剰な状態に
陥ってしまいやすいのです。
この過信サイクルを避けるには
やはり「常に謙虚」であり、ある程度自分の実力に
自身を持つとともに、人に頼ったり、周りの意見を聞く等
過信しないようにするシステムづくりなどが
大切になってくるのではないかな?と
感じました。
傾聴について
この本では、人に再考を促す手段としての
傾聴がテーマの一つにもなっています。
多くの人は話をするとき、自分を賢く見せようとする。それに対し、優れた傾聴者が賢く見せようとするのは、自分自身ではなく対話の相手だ。優れた傾聴者は、相手が自身の考えを謙虚さ、疑念、そして好奇心を持って掘り下げるように手助けする。そうすると、あいては自分の考えを表現する機会を得たとき、新しい見解を見出すことが多い。
また、ここでは、ワクチンを接種することに対して
考え方を再考することへの手段としても、傾聴が使われていて印象的でした。
アメリカには、ワクチンウィスパラーというやり方があり、
ワクチン接種を拒否する人に対して、接種を促すために
接種を拒否する人と対話する制度があります。
そこでやることとして
- 科学的事実や正当性を突きつけない
- 相手の情報源はどこかと聞く
- 予防接種が安全かどうか見極めるのは難しいと認める
- 精神的なプレッシャーを与えないように注意した
- 接種するかしないか決めるのはあなたです。と判断を委ねた
- 一通り話し終わってから、自身の専門知識を伝えた。
決して自分の考えを押し付けるのではなく、
相手の考えを尊重し、どうして相手がそう思うのかを
言語化していくことで、相手の言葉にならない不安や
言い表せない感情を表に出すこと。そして
最終的な判断は相手に委ねること
これが大切な点だと非常に良くわかる具体例でした。
日本でもコロナウイルスワクチン接種の際に
色々な情報が錯綜して打たなかった人も多かったと
思います。
実際私も打っていません。
あのときの政府の対応は、この本で語られる
「再考」を促すシステムからすると、かなり
まずいやり方だったんではないかなと思います。
同調圧力を利用していた印象がありますし、
旅行などもしにくくて、とても不便です。
もっと心理学を勉強してほしいなと、
つくづく思います。
立場固定バイアスについて
人間は目標を決めてしまうと、
目標以外は考えられず、何か気になったとしても
目標を決めたという「立場」にこだわりすぎて
その道から撤退することができなくなることがある。
そのためには、ある程度人生の方向性を決めた後
年に一度か二度、人生のセルフチェックをすることで
立場固定バイアスを回避することが出来る。
としています。
自分の強い願望を振り返ることで、
時間の推移から現れた考え方や好みの変化を
認識しなおし、再考することの機会を作る。
それをしないと、間違った方向に進んでしまう
ことにもなりそうです、
実践すること
ここまでの大作ですが、実践すべきことはシンプル。
- 少し知識がついたと言って過信しない。
ダニングクルーガー効果の餌食にならない。 - 半年に一度、自身の進むべき道を再考する
GPSでしっかり目的地を設定するのではなく、
柔軟性を持たせ心の声に従う。 - 自分が間違っていることを探して、喜ぶ。
間違えを相手から指摘されても、むしろ喜べるように。
学びを得たと思うようにする。
沢山重要な点がある本でしたが、
何でもはできないので、とりあえずこれだけ。
年に一度再考する機会を得るという学びを得ただけでも
この本を買って読んだた意義があるかと思います。
まとめ
大作です。読書速度は遅い方ではないのですが
それでも4日掛かりました。。
内容は例え話も交えられており、
とてもわかり易いですし、ためになります。
コーチ業の人や、カウンセラー等
人と関わる仕事をしている人や、
そうでもない人も、
考え方の柔軟性を変えることで得られる
メリットは、人生を豊かにします。
意地や感情にまけず、柔軟に、しなやかに
価値観を変えず、考え方を変えていきたいですね。
そんなことを思った本書でした。
間違いなく名作です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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