自傷・自殺のことが分かる本 松本俊彦

心理学

こんにちわ。かずまです。

今回は、自傷や自殺のことについて知りたいと

思いまして、この本を買いました。

というのも、カウンセラーをするにあたり

自傷や自殺、希死念慮を避けて通るのは難しいし

それに対応できるカウンセラーになりたいからです。

また、つい最近そういう悩みをロールプレイで

相談される機会があり、そこでのやり取りの中で

一冊くらい本を読んでおく必要があると感じたからです。

では、ざっくりとどんな本なのか?

本の概要 ざっくりどんな本なの?

この書籍は、自傷や自殺がなぜ起こるのか?

自傷している人はどうやってやめればいいのか

自傷している人が身近にいる人はどう対応するか

そういう事について書かれた本です。

まんま、書籍のタイトル通りの本です。

実用書としてふさわしく、中身も挿絵がとても多く

中学生・高校生にも内容がつかみやすい本だと

感じました。

自分で読んで治して欲しい。という著者の意図が

伝わってきます。

ではそもそも、なぜ自傷や自殺が起こるのでしょうか。

自傷の原因・自殺の原因

自傷や自殺の原因とは、どんなことなのでしょうか。

そもそも、人は自分自身を傷つけたり、ましてや

殺したりするのは合理性にかけます。

実際に、途上国等で食糧事情に問題がある国では

自殺する人はとても少数のようです。

戦後すぐの日本では、自殺者は今のような

数は居ませんでした。なぜ現代は自傷や自殺が

多いのでしょうか・・・。

自傷とは

自傷といって、すぐに思い浮かぶのは

リストカットだと思います。

ですが、自傷行為はそれだけではないです。

自傷行為と判断できるもの
  • リストカット
  • 過度の飲酒
  • 過剰服薬
  • 不特定多数との性行為

要するに、

「自分を大切に出来ない行為」

と、まとめることが出来ると思います。

リストカットや他の自傷行為。

ではなぜ、自分を大切に出来ないのか?

自傷の原因

  • ネガティブに対する防衛反応
    つらくなると、外ではなく内に向かう
  • 自分に対する無価値感
    親からの暴力・無関心
  • 自身を傷つけることでスッキリする
    心のもやもやを体の痛みで紛らわす。
  • 一人で簡単にできるから

自分に対する無価値感。

自分は大切にされるべき存在じゃないから、

自身を傷つけて紛らわす。

根底にあるのは、無価値感かなと

感じます。

また、ネガティブなことから、自分を

守るための、防衛反応の面もあります。

本書ではこれを

「生きたいから切る」

と表現しており、胸が痛くなりました。

では、それが行き過ぎた、自殺については?

自殺

自殺の原因については、大きく3つあります。

  • 経済的・社会的問題
    借金・仕事の不満・生活環境等
  • 生活面での問題
    子供の頃に受けた虐待
    学校などのいじめ・身近な自殺
  • メンタルヘルス問題
    うつ病・アルコール中毒等

社会が豊かになってくると生じる問題。

そしてほとんどすべてが、人間関係での

問題からのものだと感じました。

死の壁を乗り越えやすくなる要因も

あります。

  • 所属感の減衰
    居場所がない・誰にも必要とされてない
    ひとりぼっち・孤独感
  • 自殺潜在能力の高まり
    体の痛みなんてどうでもいい。
    薬や酒でなんとかなる
  • 周りに対する配慮
    迷惑かけてばかりの自分なんて
    必要ない。
    自分が居ない方がいいだろう。

この3つの条件が「死の壁」を

超えやすくする要因です。

どれも胸が痛くなりました。

特に、周りに対する配慮というのは、

本当に他人軸といいますか。

間違った他人軸。

でも、なぜそう思ってしまうのか

根底にはどんな考えがあるのか?

そこに前向きに生きられるようになる

ヒントがありそうです。

以上が自傷と自殺の原因ですが、

自殺に比べれば、自傷行為は大したことない。

そう思われるかもしれません。

ですが、そうとも言えないのです。

自傷の危険性

自傷の危険性とは何でしょうか。

それは、自殺に繋がることもある。

自殺の一歩手前の行為と言えるからです。

自傷の危険性とは
  • 自殺に繋がることもある。
  • 癖になりやすい。
  • エスカレートしやすい
  • 摂食障害や、過量服薬に繋がる

自傷行為は、エスカレートしやすいです。

理由は、脳の可塑性とも言えますが、

要は「痛みに慣れてしまうため」です。

また、自傷を繰り返す人は、脳内麻薬物質

エンケファリンの分泌濃度が、一般の人に比べ

高いことも指摘されています。

痛みに慣れてしまうため、心のもやもやを

晴らすために、次第に傷が深く、大きくなり、

やりすぎてしまい、そのまま・・・というケースも

少なくないです。

オーバードーズや、摂食障害を併発している事も

多く、甘く見ることは出来ません。

では、どうすればやめられるのでしょうか。

やめるために出来ること

自傷を止めるために出来ることは

実はたくさんあります。

自傷を止めるために出来ること
  • どういう時に切るのかを記録する
  • 切りたくない時間を分析し、その時間を増やす
  • 人に相談する事で辛さを共有する
  • 精神科を受信する
  • 周囲の正しい理解を得る
  • 切りたい時は、置き換え法を使う
  • 切りたい気持ちを紙に書いてみる
  • 瞑想をする。感情の流れを理解する。

時間の記録

自傷したくなる時間等を記録する。

また、そういう気分にならない時間を記録する。

その時に何をやっていたのか、どんな状況か。

1週間記録するだけで、どんなときに切ってたのか

どんなときに安心していたのかが分かります。

大体、一人きりのときに切る人が90%なので

なるべく孤独な時間、自室で閉じこもる時間を

避けるなど、可視化するとわかることが多いです。

人に相談する

人に相談する事、これは特におすすめしたいですが

誰に相談がするかが、とても大事になります。

迷ったら、ぜひ専門家に相談すること

強くおすすめします。

やはり、それなりに知識や訓練を受けていないと

難しいです。

家族や友人には話しにくい事でも、

全く知らない人になら、相談できることも

たくさんあると思います。

地域には精神保健福祉センターや

無料で相談できる窓口も有り

SNSカウンセリングもやっているところが

沢山あります。

対面が難しいなら、是非SNSなどでも

相談してみることをおすすめします。

周囲の理解

自傷が判明した場合。

最初、周りはどう接していいのか戸惑い、

腫れ物を触るように接していきますが

それでも自傷行為が収まらない場合、

「あてつけか!?」等、次第にストレスに

変わってしまい、自傷している本人に攻撃する

ような事も見られるようです。

そんなことになっては、元も子もないですよね。

周囲の人は、自傷していることをうけいれ、

無理にやめさせようとしたり、攻撃するのではなく、

「最近傷が増えてきたけど、つらいことがあったの?」

等、優しい言葉をかけてあげるようにしましょう。

無関心でも、大げさにパニックになっても、

本人にとってはストレスです。

置き換え法を使う

自傷している本人が、切りたくなったときに

冷たい保冷剤を握ったり、赤ペンで手首に書いたり

輪ゴムを手首にパッチンしたり、氷を掴んだり。

強い匂いを嗅ぐなどの、刺激のあることをすると

切りたい欲求を抑えられることがわかっています。

カラオケで大声を出したり、

切りたい気持ちを紙に書く。なども有効です。

瞑想をする

椅子に座って、腹式呼吸を10分間繰り返す

マインドフルネスも、有効です。

つらいきもちが起こってきたときに、

「いまここ」に集中することで、

感情が出てきては消えていく、泡のようなもの

という認識を持てるようになると、

ネガティブな気持ちも、ゆっくり消えてなくなる。

そういうことに気付けるようになります。

暑い。寒い。大きな音がした。お腹が空いた

など、そのまま起こったことを感じて、

クーラーつけなかったからだ。

瞑想しているのにわざと邪魔している。

なにか食べておけばよかった。

等、過去や未来に意識を向けずに、

事実を事実としてうけとめ、

呼吸に集中しましょう。

気づいた点

自傷行為については、

自分ではその気持を想像できず、

それでこの本書で勉強しようと思いました。

響いた点は

「生きたいから、切る

つらい気持ちを外に向けると、暴力になりますが

それが表に出せず、自分の中でだけで処理しようと

自傷してしまう。

自傷する人は、迷惑をかけたくないと

周りを気遣える、優しい人です。

だから、つらさを表に出せず、

切ることで、もやもやがスッキリする。

無価値感が根底にある。

自分が大切な存在だという自覚があれば

自分を傷つけようとは思いませんよね。

中高年の自殺率は、平成15年から大幅に

減少していますが、

若い世代の自殺率は、ほぼ変わっていません。

10代に至っては、増加しています。

悲しいと同時に、孤独を感じている若者が

とても多いと感じます。

まとめ

本書は、家庭内での自傷についてや

友人に自傷している人がいて、心配な人に

とても役に立つものだと思いました。

内容もとても充実しており、

カウンセラーを目指す人にとっても、

有益な内容でした。

この一冊で、誰かの命が救えるなら

誰かの心が楽になるのなら

安いものです。

心理関係に興味のある方は

是非一読をおすすめします。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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