フランクル心理学入門 諸富祥彦

心理学

こんにちわ。かずまです。

今回は、「夜と霧」でお馴染みの、

V・E・フランクルの提唱した心理学、ロゴセラピー

についての入門書である、

フランクル心理学入門について

アウトプットしていきたいと思います。

本の概要

実存分析・ロゴセラピーを考案した

V・E・フランクルの考え方をとても分かりやすく

学べる本です。

人生について、死について

生きる意味についての定義づけをすることで

楽になれる人も実際に居ます。

フランクルは、アウシュビッツ強制収容所に

収容される経験をし、その中で感じたことを

「夜と霧」という書籍で語っています。

その内容も入っており、実存主義やロゴセラピー

といったものを理解できる実践的な本でした。

決して心理職だけの書籍ではなかったです。

人生の虚しさについて

現代社会は、衣食住がある程度満たされており、

その後の「自己実現」や「生きる意味」を人々が

模索している時代に入っています。

その中で、どうしても生きる意味を感じられない人や

自己実現を図れない人は、とても虚しさを感じますよね。

何故、生きる意味を感じられないのでしょうか。

フランクルは次のように述べています。

  • 自分の幸福だけを追求するから
  • 幸福を目標にするから
  • 使命感を感じられないから
  • 自分が求められていることが何か
    分からないから。

幸福を追求するほど幸せになれない。

自己実現を図ろうと思うほど、満たされない。

どういうことでしょうか。

何故、幸福を追求するほど、幸せになれないのでしょうか。

フランクル心理学とは?

お金や物、名声、権威を望めば望むほど

幸せになりたいと思えば思うほど、幸せになれない。

幸せになるため、幸福感を感じるためには

「自己中心の人生観」ではなく、「人生中心」

「意味中心」、「使命中心」の人生観を得る。

すなわち、あなたはなにをしたいのか?

ではなく、

「人生はあなたに何を求めているのか?」

「誰が、何があなたを必要としているのか?」

「あなたが実現するべき意味(使命)は何か?」

を求めていき、それを見つけ、それに命を捧げる。

人の心が満たされるのはむしろ、自分の幸福の

事を忘れ去り、自分のなすべきこと、自分にとって

意味のあることに無心で取り組んでいるときである

言うことだ。

と、本書では述べられています。

ここに、フランクル心理学のエッセンスがあると

思います。

気付き

人生から問われている

自分がやりたいこと、自己実現を目指すのもいいが、

自分の為だけだと、それを達成しても、虚しさを感じる。

地位・名声・お金・家・贅沢品・車。

脳内物質で言う『ドーパミン』を分泌させるものです。

これを求めていっても、行き着く先は虚しさ。

そうではなく、人生の意味は、自分が人生の中で

見つけていくものではない。

人生が、あなたに対して意味を問いかけているのだ。

と、本書では言っています。

自分を超えた、「向こう側」からの呼びかけに

対して反応して、これが、私の使命だと気づくこと。

何やらちょっと宗教っぽい考え方も感じられますが

要するに

「あなたのことを必要としている誰かは居ませんか?」

「未来の何処かに、貴方を必要としている誰かはいませんか?」

人生からあなたが、「期待」されていることはなにか?

それをやっていくことで、人生の意味を自分で考える必要はなく、

なすべきこと。使命を行え。と本書では述べています。

自己実現は、使命、なすべきことをやった結果として

そうなっているだけだ。

フランクルはそう述べています。

この内容を見て自分が思ったこととしては

  • なすべきことが分からない場合はどうする?
  • なすべきことが合わない事、嫌いなことだったらどうする?

ということです。

なすべきことがわからないことについては、次の章で

解説します。

人生の意味が感じられる価値?

人間は、「自分は意味があることをした。」

と、心から納得できた時に、快楽を感じる。

と、本書では述べてられています。

では、

「私は人生からどんな意味を求められているんだろう?」

と、実現すべき「意味」を探す場合、指標が必要ですよね。

フランクル心理学では、その意味を探すための指標として

「3つの価値領域」を解いています。

創造価値

これは、何か活動をしてつくることで実現される価値のことです。

例えば、分かりやすいのが「仕事」です。

自分はこれをするために生まれてきたんだ

自分はこれをなすべきだ

そう感じられることこそが、創造価値です。

ここで本からの引用ですが

貴方は何とでも言えますよ。相談所を創設したし、そこで人々に援助したりしているのですから。でも私といえば・・・私の仕事を何だと思いますか?ただの洋服屋の店員です。私はどうすればいいんですか。どうしたら人生を意味のあるものに出来るんですか。

この問いに対してフランクルはこう答えています

大切なのはどんな職業についているかではなく、自分の与えられた仕事においてどれだけ最善を尽くしているかだけである。
活動範囲が問題なのではなく、自分の仕事をどれだけまっとうできているかが重要なのである。
どんな仕事であれ、その仕事は、その人だけに与えられた仕事、その人に与えられその人によってなされるのを「待っている」仕事なのです。
「各人の人生がその人に与えた仕事は、その人だけが果たすべきであり、その人だけに求められている物である」とフランクルは言うのです。

要するに、自分が「これをすることに意味を感じる!」

「これをすることこそ喜びであり、自分がしなければと思う」

「自分はこれをするために生まれてきたんだ」

そういう価値を感じられる体験を探しましょう。

と言っています。

体験価値

体験価値とは、ある種の至高体験をすることである。

と本書では述べています。

それは、芸術に触れたり、きれいな景色を見たり、

誰かを愛する経験であったり。

本書ではこんな例があります

フランクルは、重い障害を持って生まれてきたわが子を「神様のように崇め、限り無く愛した」母親の例を引いています。母親の無償の愛のかいなく、子供は歩くことも話すこともできなくなりました。しかしこの母親は諦めず、その子のために昼夜働き通し、薬を買って、抱きしめて愛撫してやるのでした。すると娘は母に抱きつき、微笑んで、ちいさな手で不器用に母親の顔を撫でる。この母親は語ったと言います。「そんな時、私は幸せでした。どんなにつらいことがあっても、かぎりなくしあわせだったのです」

また、余命3ヶ月と知らされたがん患者が、

人生に投げやりになって居た際、

通勤中の死んだ目をした魚のようなサラリーマンの列を

みかけ、翌日から身なりを整えたそのがん患者が

サラリーマンに向けて

「いってらっしゃい」と声をかけることを始めた。

サラリーマンに声をかけて、表情が明るくなるのを見るのが

嬉しくて、それが生きがいになった。

そのがん患者の余命は3ヶ月も伸びたと言います。

誰かの役に立ちたい

誰かに喜んでもらいたい

誰かに貢献したい

こんな意識と、貢献が、体験価値とも呼べるかと思います。

態度価値

態度価値については、自分では

どうしようもない状況においても、自分の

「態度」だけは変えられる。

自分の姿形は、整形でもすれば別ですが、

基本的には変えられません。

それでも、自分が「どうありたいか」という態度

姿勢だけは、自分で変えられる。その価値のことをいいます。

フランクルは、これこそが人生が意味を持つことを決してやめない

理由であると述べています。

フランクルは、ユダヤ人であるというだけで

強制収容所で過酷な環境の中強制労働に従事させられました。

その中においても、この態度価値を感じている人間を

堀の中で見たといいます。

少ない食料の中、パンを与える人。

優しい言葉をかける人。

これこそに、生きる意味があるのではないでしょうか。

どんな人生にも、生きる意味があるということ。

死の寸前まで。

自殺についても、フランクルは真っ向から否定しています。

フランクルによれば、自殺をすることは、チェスでどう手を打てばわからなくなった人が、チェス盤ごとひっくり返してしまうのと同じことです。これは勿論ルール違反なのですが、同様に、自殺する人も人生のルールに違反している。とフランクルは言います。

チェスをする時に、どんな事をしてでも勝つことは求めていません。ただ、ルールの範囲内で、勝負を捨てずに頑張ることは求められています。これと同じように、「人生のルールも、どんな事をしても勝つことは求められていないけれど、戦いを決して放棄しないということは求められているはずだ」とフランクルは言うのです。

こんな人生、捨ててしまいたい。死んでしまいたい。

そう思うこともあるかと思います。

でもだからといって、意味がなくなったということは

決してない。

人生であなたが実現すべき意味は、かならずどこかにある。

そういうことを述べています。

自殺については、とても深い含蓄だなと思います。

生きる権利がある以上、死ぬ権利もある。

そう思ってきた面もあるんですが、

どういう状況になろうとも、生きる姿勢が

人生を向上させ、問題から抜け出すきっかけに

なることもある。と思います。

それに、例え向上しなくても、その姿勢自体に意味がある

そういうことが言いたいのだと感じました。

実践すること

実践することについてですが、

この本は実存主義・ロゴセラピーについて

語った本であり、考え方の面が多いので

実践するのは難しいかと思います。

その中においても、私は、人生の意味について

生きる意味について悩んでいるクライエントに

考え方のヒントを与えることにおいて、

実践使用していきたいと思います。

まとめ

とても深い内容の本書でした。

入門書とありますが、フランクルの言いたいことのエッセンスを

しっかりまとめて、わかりやすく解説されている

名著かと思います。

人生の意味について考える必要はない。

人生から問いかけているのだ。

だから、生きることで人生からの問いに

答えなければならない。

問いかけに答えるためには、意味の価値を

自分の中で探り、自身の「使命」を全うする

その時、結果的に、自己実現ができるようになるのだ。

禅門答のようですが、「自分で探さなくていい」

と言われるだけで救われる人もいるかと思います。

心理学に興味のある方は、一読をおすすめします。

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