認知行動療法とは
認知行動療法とは何?という話ですが
一言でいうと
「出来事についての捉え方を変える心理療法」
ということです。
捉え方を、「認知」とも言えますよね。
それを変えていく。
また、「行動」を変えることで、
「気分を変えていく」そんな心理療法です。
アーロン・ベックの考案した認知療法と
アルバート・エリスが考案した論理療法が
合わさってできた心理療法です。
特徴として以下の点があります。
- 様々な精神疾患に応用可能。
- 薬物療法よりも効果があることも。
- 日常のコミュニケーションにも応用可能
- 偏った思考を修正できる
- 論理的に思考を調整できる
- 無駄に落ち込むことが少なくなる
- 生きやすくなる
- 自己治療ができる
かなり万能なイメージが出てきますよね。
特に自己治療が出来る点は素晴らしいと思います。
こんな人におすすめ
認知行動療法はこんな人におすすめです。
- 不安や憂鬱になりやすい人
- つい物事をネガティブに考えてしまう人
- 過去の思い出を引きずっている人
- 怒りっぽい人
- 物の見方に偏りのある人
つい物事をネガティブに考えてしまう。
昔の嫌な出来事を思い出して憂鬱になる。
すぐ不安になってしまう。
誰にでも思い当たるフシはあると思います。
私個人としては、すべての人におすすめできる
普段の生活から活用できる心理療法だと
思います。
認知行動療法では、物事の捉え方を
現実に即したものに変えていくための
「認知再構成法」というものを
使ってすすめていきます。
認知を再構築?どうやって?
それは次に解説していきます。
認知再構成法とは
認知再構成法とは、
私達が何かイベントや出来事に際しての
受け取り方を、現実に即した
適応的認知に変えていくための方法になります。
進め方としては以下の順になります。
- 出来事について詳しく説明する。
- 出来事が起きたときの感情を言葉にする。
- 感情に点数をつける。
- その時頭に浮かんだ思考を言葉にする。
- その思考に対しての根拠を挙げていく。
- その思考に対しての反論を挙げていく。
- 推論の誤りを見つける。
- より現実に即した思考を考える。
このような感じで進めていきます。
箇条書きだとわかりにくいので
具体的な例を挙げていきます。
具体例
仕事で上司から怒られたAさん。
Aさんは怒られた出来事を説明します。
(ここでは紙に書いていきます)
そして、その時の感情を言葉にして
◯月☓日△時、顧客からのクレームで
上司に怒られた。
評点をつけていきます。
憂鬱 80% 恐怖 80% 焦り 70%
こんな感じで%で表していきます。
その後、その時浮かんだ思考を挙げていきます。
- 自分はいつも失敗ばかりだ。
- どうしていつも怒られるんだろう。
- 評価がさがったらどうしよう。困る。
こんな感じで挙げていきます。
これを「自動思考」と呼びます。
次項で解説しますが、なにか物事が
起きたときに、頭の中に思い浮かんでしまう
思考のことを言います。
これら3つの自動思考の中で
一番つらい自動思考を選び、それについての根拠を
挙げていきます。
「自分はいつも失敗ばかりだ」根拠
- 先月もミスして怒られた。
- 失敗して周りに迷惑をかけた
という形で根拠を出していきます。
逆に次に、「自分はいつも失敗ばかりだ」
という自動思考に対して、反証を出していきます。
- 同僚もこの前怒られていた。
- 上司も上司に怒られていた。
- ミスしたのは今月1回のみ。
- クレームは他部署でも起きている。
- 褒められたこと、出来たことの方が多い。
このように反証を出していきます。
根拠よりも、反証のほうが多い場合、
この自動思考については、事実とは
言えない。と考えます。
そして、推論の誤りを見つけていきます。
自動思考「自分はいつも失敗ばかりだ」
推論の誤り
- 結論の飛躍
一つの出来事から結論を決めつける。 - レッテル貼り
自分や他人にレッテルを貼る。 - 拡大解釈と過小評価
いいこともあったのに目が行かない。 - 感情的決めつけ
怒られたことの恐怖に囚われている。
推論の誤りについては、
別記事にて取り上げていきます。
最後に、この自動思考を、
現実に即した、適応的思考
に変えていきます。
「私はいつも失敗ばかりだ。」
↓
「周りも失敗しているし、私だけというのは
言い過ぎである。ただ、クレームを受けたことは
事実なので、しっかり振り返って、改善できる点は
改善しよう。」
憂鬱 40% 恐怖 30% 焦り 30%
このような形で進めていくと、
感情の%が、かなり下がっていきます。
謝った認知に囚われず、新たに現実に即した
認知を得られた相談者は、気持ちを切り替えて
仕事に戻れる。
大まかにこのような形で進めていきます。
自動思考とスキーマ
前項で出てきた、自動思考。
これは、一言でいうと、
「なにか物事が起きたときに、
頭の中にぱっと思い浮かんでしまう思考のこと」
を言います。
大体ネガティブなことが多いです。
これは思考の癖と言えるもので、
長年培ってきた人生経験を元に作られる
認知とも言えます。
それに対して、スキーマとは
その自動思考の大元にある
硬い信念ともいえるべきものです。
幼少期に親の教育により
培われたものが多いです。
これらを解きほぐしていくことが
認知再構成法の肝になります。
まとめ
![](https://byoug-b-m-n-y.com/wp-content/uploads/2023/11/image-8-1024x683.jpg)
今回は認知行動療法について
解説してきました。
精神疾患、とくにうつ病を患っている
人には、薬物療法よりも効果があったと
いう報告もあり、とても有効な
心理療法かと思います。
次回はこれについて更に深めて
推論の誤りについて解説していきます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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